プレスリリース
2022.02.14

【プロジェクト開始】パキスタン国での自学自習を支援するeラーニング<learningBOX>の導入における基礎調査

〜コロナ禍における学習の継続と、TVET卒業試験合格率の向上貢献を目指す〜
株式会社龍野情報システム(本社:兵庫県たつの市、代表取締役社長:西村洋一郎)は、独立行政法人 国際協力機構(JICA)と、パキスタン国での「技術教育卒業資格取得のための自学自習を支援するeラーニングの導入にかかる基礎調査」(契約期間2021年10月22日~2022年9月15日)に係る業務委託契約を締結し、本事業を開始いたしましたのでお知らせいたします。

learningbox-海外プロジェクト

調査の背景

パキスタンは2019年度の世界競争力報告(世界経済フォーラム)において141か国中110位と、他の南アジア諸国の後塵を拝しており、対外債務に頼らない自国の産業育成・国際競争力強化と経済成長の達成が急務とされています。
政府は中長期戦略「Vision 2025」において、経済規模の拡大や生産性の向上等を打ち出していますが、産業の発展に欠かすことのできない産業人材が不足している状況です。
一方、同国は若年人口(25歳以下)が全体の約6割を占め、今後35年で就労人口は2倍になると予測されています。若年層の安定した雇用は経済成長において非常に重要ですが、15~24歳の失業率は10~11%と全年齢平均の5.79%よりも高く 、また不安定・悪条件のインフォーマルセクターでの就労が多いことが課題となっています。これらは専門性の不足や公的な資格・学歴がないことが一因であると言われています。

パキスタン政府はこれらの課題に対し、”Skills for Growth & Development: a TVET Policy for Pakistan”(2015)を打ち出し、教員の能力強化やカリキュラム改訂、国家資格フレームワークの制定等 を通じて、産業界のニーズと教育訓練とのギャップを埋め、TVET(職業技術教育)での人材育成と安定した人材供給を目指しています。しかし、TVET機関の卒業試験合格率は低く、卒業試験 を管轄するパンジャブ州技術教育委員会(PBTE)によると、技術短大や職業訓練校で提供されている全コースの平均合格率(2018年)は47.82%に留まっています。
”Diploma”(技術短大や職業訓練校で取得できる準学士)”や”Certificate”(職業訓練校卒)の資格は、フォーマルセクターで採用を得るための重要な条件の1つとなっていることから、卒業資格を得られず中退となることは、学生の就職に非常に不利であり、産業界にとっても良質な人材の不足を招くことになります。
学生は、働きながらの通学による学習時間の不足や、経済状況により有料の補習を受けられない等の理由により、試験対策が不十分な状況で学校からは問題集が与えられているが、紙ベースの学習管理では教員が学生の成績や学習進捗を効率的に確認することができず、学生への指導が行き届いていない原因となっています。
 

調査の目的と範囲

中期的に達成する課題への貢献
learningBOXをTVET機関での卒業試験のための自学自習ツールとして活用していただくことで、合格率を向上させ、”Diploma”や”Certificate”という資格取得率の向上に貢献することを目指します。
”Diploma”や”Certificate”という正規雇用の就職に有利な資格を得られることは、若者の雇用の確保につながり、若者にとっても感染症拡大下の雇用の脆弱性から守られる一手段となります。
また、TVET機関から多くの有資格者が輩出されることによって、良質な産業人材、生産現場の中核的人材の供給が増加すると期待されます。

learningBOXを合格率の低い一般科目の自学自習にも活用することから、いずれは普通教育の中等学校でも自学自習ツールとして活用され、学校での卒業試験合格率が向上し、安定した雇用の確保や、上級校への進学向上に寄与することを目指します。
さらに、コンテンツ開発をする教員及び学習結果を管理する学校の、ICT活用能力の向上が見込まれるだけでなく、指導者・教員研修や、プロジェクトで開発された教材を用いた遠隔教育等へ提案製品の活用を検討することにより、学校外での学びの継続と、女性家内労働者やノンフォーマル教育の教員らのエンパワメントへの貢献可能性についても調査を行う予定です。

持続的な開発目標(SDGs)17の目標への貢献
本プロジェクトでは、持続的な開発目標(SDGs)の17の項目のうち、特に次の3つ,「教育」、「経済成長・雇用」そして「インフラ・産業」について、対象地域に対して貢献していきます。
learningbox-海外

調査における今後の展開

本調査では以下の内容を主に取り組んでいきます。
◯政府機関、関係機関、その他ステークホルダーへの課題についてのヒアリングを行います。
◯パンジャブ州TVET機関パイロット校での製品デモンストレーションとサンプル教材試作のワークショップを行います。
◯アンケートや市場分析(市場規模、動向、顧客像、ニーズ、製品への反応)などを実施します。
◯TVET機関でのeラーニング導入にかかる関心・導入可能性、learningBOXによる課題解決可能性についての協議を行います。

▼JICA について
https://www.jica.go.jp/about/index.html

facebook X

プレスリリース一覧

矢印
jaJapanese