
第19回LMS研究会「eラーニング、LMSによる教育の門戸開放とその社会実装」
鈴鹿医療科学大学(三重県鈴鹿市、学長:豊田 長康)とlearningBOX株式会社は、2025年2月26日(水)に共同でLMS研究会を開催しました。両者は、産学連携協力に関する覚書を締結し、eラーニングシステムを活用した大学教育を推進しています。
関連リリース:
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LMS研究会の概要
「LMS研究会」は、鈴鹿医療科学大学内で結成している組織であり、教員⾃⾝が講師を務め、教え合い、刺激し合い、助け合う体制を整えているもので、今回の開催で19回目を迎えます。
今回のLMS研究会は、近年、教育において、ICTの活用とコンテンツの供用、アントレプレナーシップ(起業家精神)教育、リカレント教育といった大きな変革が起きていることに鑑み、learningBOX株式会社 西村 洋一郎 代表取締役がEdTechスタートアップの経験を学生に向けた講演を行いました。
また、リカレント教育では、特定のスキルや知識を短期間で習得の成果を証明するための学習内容を細分化した個別に認証するマイクロクレデンシャルの考え方について、国立高等専門学校機構 内海 康雄先生の講演がありました。本会を通じて、eラーニングとマイクロクレデンシャルとを組み合わせた新しい教育の形と社会連携を議論する場となりました。

~第19回LMS研究会 アジェンダ~
- learningBOXを用いた国家試験対策コンテンツの公開と共有
- learningBOXスタートアップの経験
- マイクロクレデンシャルと教育DX化
- 質疑応答
発表内容について
1.「learningBOXを用いた国家試験対策コンテンツの公開と共有」鈴鹿医療科学大学 医用工学部 臨床工学科 三浦 英和 准教授
医療系国家試験対策におけるeラーニングの活用について発表がありました。特に、国家試験対策において、大学間での共創が不可欠であることが強調されました。
臨床工学技士は毎年の合格者が2,000人程度と少なく、他の資格に比べ参考書やポータルサイトも充実していないという課題があります。これを解決するため、「learningBOX」を活用した国家試験過去問データベースの作成と一般公開が進められています。これにより、各大学の教員が講義に合わせて問題を改変し、学習コンテンツを柔軟に活用できる仕組みが整備されつつあります。
また、国家試験問題の著作権に関する課題についても議論があり、今後の運用に向けた整理が必要であることが確認されました。
2.「起業の経験とlearningBOXの未来」learningBOX株式会社 西村 洋一郎 代表取締役
起業の経緯や事業運営の課題、今後の展望について発表しました。特に、人材採用において「信頼できること」「一定以上の能力を持っていること」「その人の能力を活かせる場があること」を重視していることが語られました。
また、顧客の要望に基づいた機能開発を進めることの重要性についても触れられ、AIを活用した教材作成の自動化や、学習者に最適化された教育提供など、今後の技術開発の方向性についても説明がありました。
質疑応答では、スマートフォンでの学習が増えていることを踏まえ、カンニング防止機能の強化についての要望も寄せられました。
3.「マイクロクレデンシャルと教育のDX化」国立高等専門学校機構 内海 康雄 特任教授
マイクロクレデンシャル(小規模な学習成果の証明)の活用について発表がありました。AI・データサイエンス、マネジメント、エネルギー分野など、多様な教育プログラムにおいて、学習成果を証明する手段としてマイクロクレデンシャルが注目されています。
また、海外の事例として「単位銀行(Credit Bank)」の仕組みが紹介され、学習成果を柔軟に活用できる仕組みの重要性が指摘されました。今後、日本においても教育のDX化を進める上で、マイクロクレデンシャルの活用が鍵となることが示唆されました。
研究会の最後に、鈴鹿医療科学大学 豊田学長より「これまではeラーニングを活用した授業の実施を重視していましたが、現在はいかに質の高い、学生が楽しく学べるコンテンツを作成できるかというフェーズに入っていると考えています。今後は、先生方が工夫を凝らした良質な教材を共有し、教育の質を向上させていきたい」とのコメントがありました。
LMS研究会を通じて、教育のDX化に向けたナレッジ共有を進めることの重要性が改めて確認されました。learningBOX株式会社としても、引き続き教育機関との連携を深め、より良い学習環境の提供に向けた取り組みを進めてまいります。
【鈴鹿医療科学大学について】
1991年(平成3年)日本で最初に設立された「4年制医療系大学」です。当初は2学部4学科と小さな大学でしたが、現在では4学部11学科15専攻分野を有する「医療・福祉の総合大学」となりました。「科学技術の進歩を真に人類の福祉と健康の向上に役立たせる」という建学の精神のもと、知性と人間性を兼ね備えた医療と福祉のスペシャリストを育成しています。
URL:https://www.suzuka-u.ac.jp/